PCを安定して動作させる為に、電源ユニットの選択のポイントを紹介します。
PCを自作するにあたって、CPUやGPU(グラフィックボード)、SSDやFANでどのくらい消費電力があるのかわからなければ、どの電源ユニットを搭載すればいいのかわかりません。PCケースの規格によってはサイズも違うので注意しましょう。
電源ユニットの「規格」と「サイズ」を確認
電源ユニットは、マザーボードの規格とともに制定された規格で分類されています。一般的なデスクトップPC向けの「ATX」、ATXの強化版でハイエンドPCやサーバー向けの「EPS」、小型PC向けの「SFX」の3規格が主流です。PCケースによって搭載できる電源ユニットの規格が異なるほか、製品によっては同じ規格でもサイズが異なることもあるため、使用するPCケースに搭載可能な電源ユニットの規格とサイズをしっかり確認しておきましょう。
ATX
フルタワーからミニタワーまで、一般的なデスクトップPCで採用されている電源ユニットの規格です。
本体サイズは、150mm(W)×86mm(H)×140~180mm(W)
ゲーム用でGPUを搭載するならば600W以上がいいでしょう。
EPS
マルチCPU/GPUに対応した、ハイエンドPCやサーバー向けの電源ユニット規格です。ATX規格よりも電源容量が強化されているためサイズはATXと同じか、やや奥行きが長い。
最近はATXとEPS規格が一緒になった電源ユニットも多くなっているので、自作PCでは特にATX、EPS規格に関しては気にする必要はありません。
SFX
スリム型やキューブ型などが採用する電源ユニット規格です。SFX規格には複数のサイズがあります、製品選びには注意が必要です。
本体サイズは、100~125mm(W)×50~63.5mm(H)×100~130mm(D)
使用目的に応じた「電源容量」の確認
電源容量は、電源ユニットが何ワット(W)合計で出力できるかいう数値です。電源容量が足りないと突然シャットダウンしたり、再起動したりと、パソコンの動作が不安定になってしまいます。逆に、電源容量が足りてさえいれば問題は起こらないため、電源ユニットを購入する際は余裕を持って少し大きめの容量のモデルを選ぶといいでしょう。ネットで「電源容量計算」と検索すれば使用するパーツによって容量を確認できるサイトがありますので、そちらでご確認ください。
よく使っているドスパラさんのサイトでの計算機です。「ドスパラ」
端子の形状と数量、長さを確認
ケーブルと端子の形状と数量を確認しておきましょう。可能であれば各ケーブルの端子の配置も確認するとよいでしょう。使用するPCケースの大きさやケーブルを通すスペース、ドライブベイの配置などによっては「端子の数は足りているけども届かない」といったことも起こり得ますので注意が必要です。
24PIN(20+4 PIN)
マザーボードにつなぐメイン端子です。昔の仕様の名残りで20ピンと4ピンに分かれていることも多いですが、20ピンだけを使うことはまずありません。
電源端子はこのように一部のピンが分離していることがあり、分離していることを示すために「20+4ピン」という風に表記する場合があります。
ATX 12V
CPU用の補助電源端子です。元は4ピンでしたが、現在はほとんどの場合さらに4ピンを追加した8ピンを使います。8ピンはサーバー向けマザーボードから普及したため、そちらの規格名からEPS 12Vと呼ぶこともあります。ハイエンドマザーボードはこの端子を複数備えていることもあります。
PCI Express用端子
主にグラフィックボードで使う端子です。6ピンと8ピンの2種類があり、両方に対応するため6ピンと2ピンを分離してあることがほとんどです。グラフィックボードを使う場合は特に注意が必要です。
たまにグラフィックボードひとつでこの電源が2つ必要な場合があります。よく確認しておきましょう。
ペリフェラル4ピン端子
PCに内蔵する機器で利用する電源端子です。昔は内部用の電源端子といえばこれでしたが、Serial ATAが登場してからは出番が減っています。
SATA(Serial ATA)端子
元はSerial ATAのHDDや光学式ドライブ用の電源端子でしたが、それ以外の機器もこちらを使うことが増え、汎用の電源端子になっています。
FDD用端子
今は使われていない、フロッピーディスクドライブ用の端子です。備えていないモデルの方が多いですが、まれに変換ケーブルが付属しています。使う機会はほぼありません。
商品の箱の裏面にどの端子がどれだけ入っているか書いていますので、ご確認ください。
80 PLUSについて
電源ユニットの80PLUSとは、電力への変換効率がどれだけ良いのか示している規格です。 変換効率 とは電源から電力へと変換できる効率を示した値です。変換効率が高いほど、効率よく電気エネルギーへと変換されます。低ければ、廃棄熱として放出されるエネルギーの割合が増えます。
ランクの種類は「80 PLUS」「80 PLUS Bronze」「80 PLUS Silver」「80 PLUS Gold」「80 PLUS Platinum」「80 PLUS Titanium」の6段階があります。製品価格に影響するため、PlatinumやTitanium認定を取得しているのはハイエンド製品が中心です。
選ぶのにCPUやグラフィックボードと異なり、電源ユニットはどれだけ高価で高品質な製品を使っても実感できる機会はほとんどありません。それだけに、製品選びの基準に趣味やこだわりの占める割合が大きいパーツと言えます。必要な端子の数と容量さえ押さえておけば、後は好みで選んでしまってもよいと思います。
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